专利摘要:
本発明は、被験体の生理的状態を評価するための新規な方法及び製品に関する。より特定すると、本発明は、被験体の試料中の特定の異常タンパク質ドメインに対する抗体のレベル、又はこのような異常タンパク質ドメインに特異的なTCRを有する免疫細胞の存在もしくは数を測定することにより、被験体における癌の存在、リスク又は段階を評価する方法に関する。本発明はまた、処置に対する被験体の応答性を評価し、並びに、候補薬物をスクリーニングし、新規な治療法を設計するのにも適している。本発明は、任意の哺乳動物被験体、特にヒト被験体において使用され得る。
公开号:JP2011505825A
申请号:JP2010537541
申请日:2008-12-15
公开日:2011-03-03
发明作者:オジェ,ヴィルジニー;ビアン,ベルナール;ブリュリアール,マリー
申请人:トランスメディ・ソシエテ・アノニムTransmedi Sa;
IPC主号:C12N15-09
专利说明:

[0001] 本発明は、被験体の生理的状態を評価するための新規な方法及び製品に関する。より特定すると、本発明は、被験体の試料中の特定の異常タンパク質ドメインに対する抗体のレベル、又はこのような異常タンパク質ドメインに特異的なTCRを有する免疫細胞の存在もしくは数を測定することにより、被験体における癌の存在、リスク又は段階を評価する方法に関する。本発明はまた、処置に対する被験体の応答性を評価し、並びに、候補薬物をスクリーニングし、新規な治療法を設計するのにも適している。本発明は、哺乳動物被験体、特にヒト被験体において使用され得る。]
[0002] 序論
癌は、西洋諸国において次第に死亡の第一原因になりつつあり、主に初期の段階で診断された個体では患者の90%超において強力な治療利点、すなわち無再発性で長期間の生存が得られている1。癌は、発癌遺伝子及び腫瘍抑制遺伝子の突然変異の蓄積を伴う遺伝病である2。遺伝学的検査は、大腸癌、肺癌、乳癌、卵巣癌及び神経内分泌癌のリスクのある個体を同定するのに有用である3,4。しかしながら、遺伝学的リスクのある患者の臨床管理は、所定の個体がいつ癌を発症するかが正確に分からないため、複雑である5。]
[0003] 遺伝子発現は癌細胞によって大きく異なり、転写パターンの差異を分析することにより、良好又は不良の予後に関連した分子的サイン(signatures)が決定される6。このようなサインは治療戦略を導き最適化し得るが、ここでも必要条件は腫瘍が前以って同定されていることである。]
[0004] 入手し易いヒト体液において検出可能で信頼性があり初期段階の癌の分子マーカーを同定するための多大な努力が主に3つの方向を通して追求されている。第一に、正常患者と癌患者の間のタンパク質濃度及び/又はアイソフォームの変化が、様々な分離及び同定手法を使用して分析されている7,8。これらの中のいくつかの方法が、体系的なスクリーニングに適しているが、低レベルな組織漏出により放出されるタンパク質の濃度と比べて(<<pg/ml)、豊富な血漿中タンパク質の濃度(>>>mg/ml)という巨大な差異に、技術は現在直面している。代替的なアプローチには、癌で差異的に発現されるいくつかの特定のターゲットの発現プロファイリングを通しての同定と、血漿中のその濃度をモニタリングするための感度の高いアッセイの開発からなる9。両方の戦略が成功裏に行なわれているが、どちらの戦略でも体系的な臨床的スクリーニングに有用であるに十分なほどに頑強なマーカーは得られていない10,11。研究の第二の軸は、血漿中に循環しているDNAの同定及び特徴付けに基づいている。以前の報告により、血清中に循環しているDNAが単に存在することで診断が下せることが示唆されたが12;この報告は、健康個体の循環中の遊離DNA濃度が、癌患者と同じ範囲内であることから、現在では疑問である13,14。正常なDNAメチル化パターンの維持は、適切な細胞機能に必須であり、その欠失は、発癌中の最初期の分子変化の1つである15,16。いくつかのグループが、血清中の腫瘍関連メチル化パターンの検出を報告しているが、同じバイオマーカー及び同じ技術を使用しても様々なチーム間でも成功率は大きく異なった17〜20。これは、腫瘍DNAメチル化パターンの多様性と、体細胞的に正常な半数体ゲノムのせいぜい0.12%において示される腫瘍DNAの量が少ないことの両方に起因している21,22。従って、近年のシークエンス技術の改良を考慮してもなお、微小量の循環中の癌DNAにおける癌体細胞突然変異の検出はバックグラウンドレベルと近すぎて、頑強なアッセイを得ることができない23,24。第三の軸は、自己抗体を体系的に探求することによる、癌に対する免疫系応答の探索からなる25,26。これらの抗体の存在は確立されているが、自己分子が免疫原性となる過程は依然として解明されていない27。癌細胞mRNAから構築した発現ライブラリーのスクリーニングにより、20個を超える組合せで使用した場合に、前立腺癌患者において最大82%の感度を達成した感度の低い抗体が数多く同定された28,29。代替的な方法は、2次元ゲル電気泳動のイムノブロットによる自己抗体サインの同定に依拠する30。これによりその後、癌状態に関係なく自己抗体により同定された主にタンパク質の同定がなされ、癌血清と優先的に反応する少数のタンパク質が同定されている30。]
[0005] 我々の戦略は、大規模な癌DNAシークエンスプログラムを通じて得られた結果から直接的に導き出された異なる理論に基づいている31,32。この重要な研究により、癌体細胞突然変異は、予期したよりも高い割合で起こっているが、それにも関わらず依然として稀な事象である(推測される割合は、106個の塩基につき3.1個であり、所定の腫瘍において平均90個のアミノ酸が置換されている)という結論に至った31。実質的に全ての生化学的、生物学的及び臨床的特質は、同じ組織学的サブタイプの癌でも不均一である33。従って、我々は、癌細胞不均一性に寄与する代替的な機序を探求した。我々は近年癌細胞mRNA配列が、正常細胞のそれよりも多くの塩基置換を含んでいることを示した34。癌mRNAの塩基置換の起こる部位は、体細胞突然変異を有する部位よりも104倍の頻繁な割合で見られ、一塩基多型(SNP)に相当しない部位である。従って、同じ患者の正常細胞及び癌細胞から単離したmRNA不均一性の差異は、ゲノムレベルで起こる差異により説明することができない。癌mRNAの塩基置換は、活性RNAポリメラーゼII(Pol II)により融解された部分に相当するDNA内容物の組成により決定される34,35。置換された塩基は、その事象の直前又は直後の塩基であることが最も多い。インビトロでのデータにより、特定のDNA内容物におけるPol IIの前方向のスリッピングが実証され36,37、それ故、我々は、一部の癌mRNAがゲノムDNAの信頼性あるコピーではないことが転写非忠実度(TI)により説明されると提案した。]
[0006] 我々はこの解析を全ゲノム及び全ての入手可能なヒト転写物へと拡大し、mRNA塩基置換は癌において有意に増加(2.5倍)していることを確認した。最も重要なことには、我々は、癌mRNAにおける一塩基脱落ははるかにより劇的に増加(38倍)していることを発見した。mRNAにおけるギャップは下流のゲノム情報の消失を引き起こし、免疫応答を引き起こし得る異常なタンパク質をもたらし得る。我々は、癌患者において、一塩基ギャップを含む癌mRNAから翻訳された予測異常ペプチド(PAP)に対して指向される特異的IgGを探求し発見した。少量の多様化されたIgGの検出により、最も一般的な形態であるヒト固形腫瘍の新規な診断法が提供される。IgGのパネルにより、非小細胞肺癌(NSCLC)患者と、癌に罹患していない被験体とが効果的に識別された。]
[0007] 従って、本発明により、このようなギャップ(及び挿入)は癌患者において劇的に増加しており、異常であるが予測可能な免疫原性タンパク質を作っており、このタンパク質は非常に効率的なバイオマーカーを示すことが示される。]
[0008] 発明の要約
本発明の目的は、被験体における癌の存在、癌発生のリスク、又は癌の発達段階を検出する方法に関し、前記方法は、インビトロで被験体の試料を、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含むポリペプチドと接触させることを含み、ここでの前記ポリペプチドと、前記試料中に存在する抗体(TIAB)又はTCR含有細胞との複合体の形成は、癌の存在、癌発生のリスク、又は癌の発達段階の指標である。]
[0009] 本発明の更なる目的は、被験体の生理的状態を評価する方法に関し、前記方法は、被験体の試料中のそのようなドメインに結合する、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメインに特異的な抗体(TIAB)又はTCR含有免疫細胞の存在又はレベルを測定する工程を含み、参照値と比較した、前記試料中の前記TIAB又は免疫細胞のレベルの改変は、生理的疾患の指標である。]
[0010] 本発明の更なる目的は、癌の処置効力を決定する方法であって、前記方法は、(i)被験体の試料中の、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む少なくとも1個のポリペプチドのレベル、又はTIABもしくは対応するTCR含有細胞のレベルを決定し、(ii)前記レベルを、処置前に又は処置の早期段階で採取した前記被験体の試料中のレベルと比較することを含む。]
[0011] 本発明の他の目的は、被験体の癌の進行又は拡大をモニタリングする方法であって、前記方法は、(i)前記被験体から得られた試料を、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む少なくとも1個のポリペプチドと接触させ、(ii)前記試料中のTIAB又は対応するTCR含有細胞のレベルを決定し、(iii)前記レベルを、参照レベルと比較することを含む。参照値は、癌又は疾病に罹患していない個体から決定された平均値もしくは中央値、対照患者から得られた参照レベル、癌発症前に被験体から得られた参照レベル、又は対照ポリペプチドを用いて得られたものであり得る。]
[0012] 本発明の他の目的は、前記個体から得られた試料を、前記ポリペプチドの存在を示す薬剤と接触させ、前記薬剤が前記試料と結合するかどうかを決定することを含む、個体が、配列番号1〜3334からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを作っているかどうかを決定する方法に関する。]
[0013] 本発明の更なる目的は、生物学的に活性な化合物を選択するか、特徴づけるか、スクリーニングするか、又は最適化する方法であって、前記方法は、試験化合物をインビトロで遺伝子と接触させるように配置し、前記試験化合物が、前記遺伝子からの、転写非忠実ギャップ及び挿入を含むRNA分子の産生をモジュレーションする能力について決定することを含む。]
[0014] 本発明の更なる目的は、転写非忠実度に特異的なペプチドを作製する方法に存し、前記方法は、
a)転写非忠実ギャップ又は挿入から生じたタンパク質ドメインを同定する工程、
b)前記のa)のタンパク質ドメインの配列を含むペプチドを合成する工程、
c)哺乳動物被験体の生物学的試料において、前記ペプチドが抗体に結合することを場合により実証する工程を含む。]
[0015] 本発明はまた、ギャップもしくは挿入による転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列又はそのエピトープ含有断片を含むポリペプチド、特に配列番号1〜3334もしくはそのエピトープ含有断片から選択される配列を含むポリペプチドに関する。]
[0016] 本発明の更なる目的は、前記のポリペプチドをコードするか、あるいは、配列番号1〜3334からなる群より選択されるポリペプチドをコードする第一ヌクレオチド配列又はそれに相補的な配列と、100以下のヌクレオチド長の第二ヌクレオチド配列とを含む、単離核酸であって、前記第二ヌクレオチド配列は、天然の核酸において前記の第一ヌクレオチド配列と隣接している。]
[0017] 本発明の他の目的は、前記のポリヌクレオチドを含むクローニングベクター又は発現ベクター、及び、このベクターで形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞である。]
[0018] 本発明の更なる目的は、ギャップ又は挿入による転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含むポリペプチドに、特に、配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片からなる群より選択される配列を含むポリペプチドに特異的に結合する、単離抗体又は抗体の一部である。]
[0019] 本発明の更なる目的は、ギャップ又は挿入による転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含むポリペプチドに、特に、配列番号1〜3334からなる群より選択される配列を含むポリペプチドに特異的であるTCRを含む免疫細胞である。]
[0020] 本発明はまた、ギャップ又は挿入による転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む少なくとも1個のポリペプチド、特に、配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片からなる群より選択される配列を含む少なくとも1個のポリペプチドを含む、固相支持体にも関する。]
[0021] 本発明は、更に、ギャップ又は挿入による転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む少なくとも1個のポリペプチド、特に、配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片からなる群より選択される配列を含む少なくとも1個のポリペプチドを含み、それが支持体上に固定された、装置又は製品に関する。]
[0022] 本発明の他の目的は、前記に定義したような少なくとも装置又は製品と、免疫反応を行なうための試薬とを含むキットである。]
[0023] 本発明は更に、被験体における免疫応答をモジュレーションする方法に関し、前記方法は、被験体を処置することにより、前記に定義したようなポリペプチドに特異的なTCRを発現している免疫細胞を枯渇させることを含む。このような免疫細胞には、典型的には、B細胞、樹状細胞又はT細胞が含まれる。枯渇は、当技術分野において公知の方法、例えば特異的リガンドを使用したエクスビボでの枯渇により行ない得る。]
図面の簡単な説明

[0024] ORF内に位置するKギャップの図解。ORF内の全ての統計学的に有意なKギャップを示し、癌設定で測定された偏差%はY軸に、正常設定ではX軸に示す。赤色の菱形は、生物学的評価のために選択された45個のKギャップを示す(表5)。挿入図は、ORF内に位置する統計学的に有意な指定された数のKギャップにより影響を受ける転写物の数を示す。
肺癌患者cDNAライブラリーにおけるコフィリン遺伝子上に予測される欠失の異常なmRNAの検出。選択されたギャップの生物情報学的な予測及び特徴。
クローニング戦略。
正常及び変異体におけるqPCR。
cDNA変異体配列。
ゲノムDNA配列。
対照患者及び指定された形態の固形腫瘍を有する癌患者の血漿中における15個のPAP(表5のペプチド1〜15)を認識するIgGの検出。ビオチニル化PAPと共にインキュベートした各々の個々の試料について記録された蛍光強度シグナルを、ブランクのストレプトアビジンでコーティングされたウェルで記録された蛍光強度シグナルから差し引いた。この差異の強度は、対照で記録された数値の下半分に相当する場合には明るい青色




で示される。暗い青色




は、対照値の上半分のシグナルに相当する。対照を超えているが、陽性シグナルの下半分であるものは、明るい赤色




である。暗い赤色




は、陽性シグナルの上半分の患者である。空欄は、試料の不足のために行なえなかった試験を示す。対照は26人の健康個体であり、指定された様々な形態の癌を有する患者を、段階に応じて各癌について上(初期)から下(進行)へと順番に並べる。ウィルコクソン検定の有意なp値が図の下に示されている。
対照患者及び指定された形態の固形腫瘍を有する癌患者の血漿中における13個の予測異常ペプチドに対して指向されるIgGの検出。ビオチニル化PAPと共にインキュベートした各々の個々の試料について記録された蛍光強度シグナルを、PAP14及び15、又はPAP14の情報が入手できない場合にはPAP15のみを用いて記録された平均値から差し引いた。生データは、図3Aのものと同じである。計算されたシグナルの強度は、対照で記録された数値の下半分に相当する場合には明るい青色で示される。暗い青色は、対照の上半分のシグナルに相当する。対照を超えているが陽性シグナルの下半分であるものは明るい赤色である。陽性シグナルの上半分は暗い赤色である。
NSCLCと癌を含まない対照の血清中におけるPAPに対して指向されるIgGの検出。37個のPAPに対して指向されるIgGが測定される(表5の最初の37個のペプチド)。37個のPAPに相当するAA配列を有するN末端ビオチニル化ペプチドを作製し、推定免疫グロブリンに結合させるためのストレプトアビジンウェル中のベイトとして使用した。試料は1/100希釈液で試験し、洗浄後、PAPに結合したIgGを、二次抗ヒトIgGFcドメインにより明らかとした。対照患者には、25人の健康個体と12人のCOPD患者(明るい及び暗い青色のパネル)及び49人のNSCLC患者(試験II、表4)(赤色パネル)が含まれた。症例と全ての対照のウィルコクソン検定のp値が示されている。
37人の対照と49人の肺癌の間の統計学的解析。各TIABについてのノンパラメトリックなウィルコクソン検定p値が示されている。
基準ペプチド(CP)に対して指向されるIgGが検出されない。基準のゲノム読み取りに相当するペプチド、すなわち、ギャップを含まないRefSeqに相当するmRNAの翻訳に相当するペプチドに対して指向されるIgGの蛍光強度が測定される。基準ペプチド配列は表6に示されている。PAP1及び同じ遺伝子上で選択された基準ペプチド(I64〜Q93)に対して指向されるIgGを測定する。アルブミン由来の基準ペプチド(Q128〜P143)に対して指向されるIgGも測定する。図4の全ての患者が含まれる。
基準及び予測異常ペプチド配列の図解。
11人の対照(青色パネル)及び16人のNSCLC(赤いパネル)についての、PAP7、24及び28並びにその基準ペプチドに対して指向されるIgGが示されている。
マウスの血清中のPAPに対して指向されるIgGの検出。ヒト配列とマウス配列の間の相同性に関する生物情報学的解析。PAP7、48及び62のmRNA及びPAPアラインメントが示されており、これらの配列が保存されていることが示されている。陰性対照であるCP7のタンパク質配列もまた、ヒトとマウスの間で保存されている。PAP2及び9は、ヒトにおいては対照とNSCLCの間で識別されるが、マウスでは保存されていない。
12匹の正常マウス(C57Bl/6)に5×105個のLLC1細胞を皮下注射した。注射日及びその1−2−3週間後に、PAP48、62、7及び対応するCP力価に対して指向されるTIABを測定した。4匹のマウスにおいて、PAP2及び9力価に対して指向されるTIABを、注射日及びその3週間後に測定した。平均+−SEMが示されている。
肺癌と癌を有さない対照の血清中におけるPAPに対して指向されるIgG力価の組合せ。対照患者には、161人の健康個体(青色パネル)及び140人の肺癌(試験III、表4)(腺癌ADK(赤色パネル)、扁平上皮癌(オレンジ色のパネル)及びその他(黄色のパネル)を含む)が含まれる。サポートベクターマシンにより、対照と、6個のPAP(7、29、48、66、68、70)を有する肺癌の識別が可能となる。超平面までの距離が示されている;SVMモデルにより陰性値を示す患者は、非癌性と分類される。陽性値を示す患者は、癌性と分類される。
その年齢に従って陽性と分類された肺癌患者の比率を示す。
その疾病の組織病理に従って陽性と分類された肺癌患者の比率を示す。
手術後から3年間疾病を患っていない肺癌患者と、死亡したか再発癌を伴って生存している患者の間のSVM超平面までの距離の差を示す。
肺癌と乳癌の血清中におけるPAPに対して指向されるIgG力価の組合せ。対照患者には、20人の健康個体(青色のパネル)、20人の肺癌(赤いパネル)、及び20人の乳癌(紫のパネル)が含まれる(試験IV、表4)。肺癌と癌を有さない対照とを識別するPAPの組合せを示す。
肺癌と乳癌とを識別するPAPのいくつかの組合せを示す。
肺癌と乳癌とを識別するPAPのいくつかの組合せを示す。
肺癌と乳癌とを識別するPAPのいくつかの組合せを示す。
乳癌と癌を有さない対照とを識別するPAPの組合せを示す。] 図3A
[0025] 発明の詳細な説明
本発明は、TIABレベルを測定することにより被験体の生理的状態を評価するための新規な方法及び製品に関する。より特定すると、本発明は、被験体の試料中のTIABレベルを測定することにより、被験体における癌の存在、リスク又は段階を評価する方法に関する。本発明はまた、処置に対する被験体の応答性を評価し、癌の進行又は拡大をモニタリングし、並びに候補薬物をスクリーニングするのにも適している。]
[0026] 転写非忠実度とは、細胞中において単一の転写配列からいくつかの独特なRNA分子が産生される新規な機序のことをいう。この新しく同定された機序は、同時係属中の出願番号PCT/EP07/057541(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているように、遺伝子に影響を及ぼす可能性があり、無作為ではなく、特定の規則に従っている。]
[0027] 本出願は、転写非忠実度により、RNA分子にギャップ又は挿入が導入され得、これにより単一の遺伝子から多様な検出可能な異常タンパク質配列(TIポリペプチド配列)が作られることを示す。これらのTIポリペプチド配列は、特に興味深い。なぜなら、それらはエピトープを含むに十分なほど長く、これに対する抗体が哺乳動物により産生され得るからである。結果として、被験体におけるこのような異常タンパク質の発現は、被験体の試料中の相当する抗体又はTCR含有細胞の存在を測定することにより評価することができる。]
[0028] 本発明は、今回、遺伝子からのギャップ又は挿入による転写非忠実事象により生じたこのような異常タンパク質ドメイン配列を予測及び/又は同定する方法、並びに、このようなTI配列を含むポリペプチドの作製法を提供する。本発明はまた、2000を超えるギャップTI(gTI)ポリペプチド及び1000を超える挿入TI(iTI)ポリペプチドを開示し、そして、ヒト試料における、これらのポリペプチド配列に対して指向される抗体の存在と、被験体における癌の存在との間の顕著な相関を実証する。より具体的には、予測異常ペプチド(PAP)に対して指向される特異的IgGレベルの上昇が、一般的な形態の固形腫瘍を有する大半の患者(>75%)の血清中において正常な被験体よりも過剰に検出されている。7つ全ての一般的な形態の固形腫瘍(大腸癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌、頭頸部癌及びメラノーマ)において異常タンパク質に対して指向されるIgGの産生が引き起こされている。特異的IgGレベルの上昇が、疾病の初期段階、すなわちリンパ節が陰性で転移していない大半の被験体において観察された。]
[0029] それ故、TIAB(転写非忠実抗体、Transcriptional Infidelity Antibody)と呼ばれる、TIポリペプチドに対して指向されるこのような抗体、又はこのような異常ドメインに特異的なTCRレセプターを有する対応する免疫細胞を測定することにより、疾患を検出しモニタリングするための、並びに薬物を開発するための新規なアプローチが示される。]
[0030] TIAB
本発明の脈絡の中で用語TIAB(「転写非忠実抗体」)とは、TI、特にgTI又はiTIにより作られるタンパク質配列に含まれるエピトープに特異的に結合する抗体のことをいう。TIABとは、より具体的には、TI、特にgTI及びiTI(ギャップ及び挿入による転写非忠実度)により作られるタンパク質配列に含まれるエピトープに対して哺乳動物により天然に産生される抗体のことをいう。TIABは、任意の種類であり得、これには、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDなどが含まれる。抗体は、特定のエピトープ又は配列への抗体の結合が、非特異的結合とは(すなわち、別の抗原への結合、特に前記ドメインを含まない天然タンパク質への結合とは)確実に識別できる場合、特定のエピトープ又は配列に対して「特異的」である。]
[0031] 1つの局面において、TIAB又はTIABの一部は固相支持体に付着されていてもよい。付着により、TIABは適切なコンフォメーションで維持され、特異的gTI又はiTIポリペプチドを含む試料と接触させた場合に、前記特異的gTI又はiTIポリペプチドとの特異的結合が可能となる。付着は、支持体に直接的に又はスペーサー基を通した、共有結合でも非共有結合でもよい。当技術分野において抗体を支持体(ポリマー、セラミック、プラスチック、ガラス、シリカなど)に固定させるための様々な技術が報告されている。支持体は、例えば分離を容易にするために、磁気的であり得、例えば磁気ビーズであり得る。]
[0032] このようなTIポリペプチドに特異的なTCRを有する免疫細胞には、TCR、例えばT細胞、例えばCTL、CD4+リンパ球、CD8+リンパ球及び/又はTreg細胞、並びに、抗原提示細胞:B細胞、樹状細胞及びマクロファージを含む、免疫系の任意の細胞が含まれる。この用語には、特に、任意のTIAB産生免疫細胞が含まれる。このような細胞は、慣用的な条件で培養し得、(共)刺激因子として本発明のTIポリペプチドを使用してインビトロで又はエクスビボで増殖させ得る。]
[0033] TIポリペプチド及びその産生
以下に開示するように、本発明は、今回、様々なTIポリペプチドの配列を開示し、実質的にあらゆる遺伝子に由来するTI配列の予測を可能とする。]
[0034] 第一の態様において、本発明は、gTI配列、すなわちギャップによる転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む、単離ポリペプチドに関する。本発明のポリペプチドの具体例には、配列番号1〜2206(表3a参照)又はそのエピトープ含有断片から選択される配列が含まれる。]
[0035] 第二の態様において、本発明は、挿入TI配列、すなわち、挿入による転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む、単離ポリペプチドに関する。本発明のポリペプチドの具体例には、配列番号2207〜3334(表3b参照)又はそのエピトープ含有断片から選択される配列が含まれる。]
[0036] 用語「エピトープ含有断片」とは、抗体又はTCR発現細胞に対する免疫原性エピトープを形成する、少なくとも6個、好ましくは少なくとも8個、更により好ましくは少なくとも10個、最も好ましくは少なくとも12個の連続したアミノ酸残基を含む任意の断片のことをいう。このようなエピトープは、鎖状又は立体構造であり得、B細胞又はT細胞に特異的であり得る。]
[0037] 本発明のTIポリペプチドは、典型的には、8〜100個のアミノ酸、好ましくは8〜50個、より好ましくは10〜40個のアミノ酸を含む。本発明のポリペプチドは、任意の慣用的な技術、例えば人工的なポリペプチド合成又は組換え技術により作製され得る。]
[0038] 本発明のポリペプチドは、場合により、追加の残基又は機能、例えば以下に限定されるわけではないが、追加のアミノ酸残基、化学的又は生物学的な基、例えば、標識、タグ、安定化剤、ターゲティング部分、精製タグ、分泌ペプチド、官能基化反応基などを含み得る。このような追加の残基又は機能は、化学的に誘導体化され得るか、融合タンパク質のアミノ酸配列領域として追加され得るか、複合体を形成し得るか、あるいは別様に共有結合的に又は非共有結合的に付着され得る。それらはまた、天然又は非天然のアミノ酸を含んでいてもよい。前記ポリペプチドは、可溶形であっても、又は例えばマトリックス、カラム、ビーズ、プレート、メンブラン、スライド、セル、脂質、ウェルなどの支持体に付着していてもよい(又はそれと複合体を形成していても、又はそれに埋め込まれていてもよい)。]
[0039] 特定の態様において、ストレプトアビジンと複合体を形成するために、ポリペプチドはビオチニル化されている。]
[0040] 本発明のポリペプチドは、単量体として存在していても、又は多量体として存在してもよい。また、それらは鎖状コンフォメーションであっても、又は特定の立体的コンフォメーションであってもよい。この点において、前記ポリペプチドは、特異的立体構造を示すために特定の骨格に含まれていてもよい。]
[0041] 本発明のポリペプチドは、ワクチン組成物中の免疫原として又は特異的抗体を産生するために使用され得る。それらはまた、薬物又は他の分子(例えば標識)を生体内の特定の部位にターゲティングするために使用され得る。それらはまた、任意の試料から特異的抗体又はTCR含有免疫細胞を検出又は投薬するための特殊な試薬として使用され得る。]
[0042] この点において、本発明の特定の目的は、固相支持体に付着した前記で定義したようなポリペプチドを含む装置又は製品に存する。付着は、好ましくは、末端での付着であり、これによりポリペプチドは適切なコンフォメーションに維持され、特異的抗体を含む試料と接触させた場合に、前記特異的抗体の結合が可能となる。付着は、支持体に直接的に又はスペーサー基を通した、共有結合でも非共有結合でもよい。例えばHall et al., Mechanisms of ageing and development 128 (2007) 161に開示されているように、当技術分野においてペプチドを支持体(ポリマー、セラミック、プラスチック、ガラス、シリカなど)に固定させるための様々な技術が報告されている。支持体は、例えば分離を容易にするために、磁気的であり得、例えば磁気ビーズであり得る。]
[0043] 装置は、好ましくは、例えば予め定められた順序で整列させた、本発明の複数のポリペプチドを含み、これにより、同じ装置を用いて数個のTIABを検出又は測定し得る。]
[0044] 装置は、典型的には、任意の固相又は半固相支持体、例えば滴定プレート、ディッシュ、スライド、ウェル、メンブラン、ビーズ、カラムなどで作られている。支持体は、典型的には、配列番号1〜3334、又はそのエピトープ含有断片、より好ましくは表5の45個のPAPポリペプチド(配列番号1〜3334に含まれる)から選択された少なくとも2個のポリペプチドを含む。]
[0045] 最も好ましい態様において、本発明の方法又は支持体は、表5の独特なPAPポリペプチド配列を含む、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のポリペプチドの組合せを使用する。]
[0046] 特定の態様において、装置又は方法は、PAP1、2、4、6、7、24、25、28、29、44、又は48(表5)から選択された少なくとも1、2、又は3個のポリペプチドを使用する。]
[0047] 別の特定の態様において、本発明の方法又は支持体は、
−ポリペプチドPAP7、PAP66、PAP70、PAP29、PAP68及びPAP48;
−ポリペプチドPAP7、PAP48、PAP70及びPAP29;
−ポリペプチドPAP6、PAP29、PAP70及びPAP82;
−ポリペプチドPAP6、PAP7、PAP29、PAP48、PAP70及びPAP82;
−ポリペプチドPAP6、PAP29、PAP70及びPAP69;
−ポリペプチドPAP7、PAP48、PAP70、PAP74及びPAP29;又は
−ポリペプチドPAP7、PAP29及びPAP94
から選択された表5の独特なPAPポリペプチドの組合せを使用する。]
[0048] 特定の態様において、前記装置は、2〜10個のポリペプチドを含む。]
[0049] 前記支持体は、追加の物体又は生物学的エレメント、例えば対照ポリペプチド及び/又は異なる免疫反応性を有するポリペプチドを含み得る。]
[0050] ポリペプチドとTIABの間の免疫複合体の形成は、公知の技術により、例えばヒト抗体に特異的な二次標識抗体の使用により、又は競合反応などにより評価し得る。]
[0051] 本発明の更なる局面は、前記で開示したような装置、並びに、免疫反応を行なうための、すなわち免疫複合体の形成及び検出のための1個又は数個の試薬とを含む、キットに存する。]
[0052] TIポリヌクレオチド
本発明の更なる態様は、前記で定義したようなポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド又はその相補鎖に関する。特に、このポリヌクレオチドは、配列番号1〜3334からなる群より選択されるポリペプチドをコードする第一ヌクレオチド配列又はそれに相補的な配列と、100以下のヌクレオチド長の第二ヌクレオチド配列とを含み、ここでの第二ヌクレオチド配列は、天然の核酸において前記の第一ヌクレオチド配列と隣接している。第一ヌクレオチド配列に隣接する第二ヌクレオチド配列の長さは、例えば、75、50、25、10又は0であり得る。]
[0053] 本発明のポリヌクレオチドは、DNA又はRNA、例えば相補的DNA、合成DNA、mRNA、又はこれらの類似体(例えば、修飾されたヌクレオチド、例えば3’アルコキシリボヌクレオチド、メチルホスホネートなど、及びペプチド核酸(PNAs)などを含む)であり得る。ポリヌクレオチドは、標識されていてもよい。ポリヌクレオチドは、当技術分野においてそれ自体周知の技術に従って、例えば化学的合成法、インビトロ転写、又は本出願に含まれる配列情報を使用した組換えDNA法により作製され得る。特に、ポリヌクレオチドは、化学的オリゴヌクレオチド合成、ライブラリースクリーニング、増幅、ライゲーション、組換え技術、及びその組合せにより作製され得る。]
[0054] 本発明の特定の態様は、配列番号2207〜3334又はそのエピトープ含有断片から選択される配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに存する。]
[0055] 本発明のポリヌクレオチドは、ポリペプチドの発現を引き起こすか又は調節するために使用され得る、追加のヌクレオチド配列、例えば調節領域、すなわちプロモーター、エンハンサー、サイレンサー、終結因子などを含み得る。]
[0056] 本発明のポリヌクレオチドは、本発明の組換えポリペプチドの作製に使用され得る。それらはまた、前記に定義したようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を特異的に検出、それに結合又はそれに影響を及ぼす、特定の試薬、例えばプライマー、プローブ又はアンチセンス分子(アンチセンスRNA、iRNA、アプタマー、リボザイムなどを含む)の設計に使用され得る。それらはまた、治療分子として(例えば、遺伝子工学されたウイルスの一部として、例えばであって限定するわけではないが、遺伝子療法プログラムにおける遺伝子工学されたアデノウイルス又はアデノ随伴ウイルスベクターとして)、又は例えば前記に定義したようなポリペプチドの活性をモジュレーションする薬剤について化合物ライブラリーをスクリーニングするのに有用である組換え細胞又は遺伝子的に改変された非ヒト動物の作製に使用され得る。]
[0057] 本発明の脈絡の中で、核酸「プローブ」とは、転写非忠実ドメイン又はその相補体に選択的にハイブリダイゼーションでき、前記ドメイン又は相補体を含む試料中の存在(又はその量)を検出するに適した、ポリヌクレオチド配列を有する核酸又はオリゴヌクレオチドのことをいう。プローブは、好ましくは、転写非忠実ドメインに完全に相補的であるが、ある程度のミスマッチは許容され得る。プローブは、典型的には、8〜1500、例えば10〜1000、より好ましくは10〜800、典型的には20〜700ヌクレオチド長の一本鎖核酸を含む。より長いプローブも同様に使用され得ることを理解されたい。本発明の好ましいプローブは、転写非忠実ドメインに特異的にハイブリダイゼーションできる、8〜400ヌクレオチド長の一本鎖核酸分子である。]
[0058] 用語「プライマー」とは、転写非忠実ドメイン又はその相補体と、又は転写非忠実ドメインにフランキングする核酸領域と選択的にハイブリダイゼーションでき、前記ドメインもしくは相補体を含む試料中で前記転写非忠実ドメインの全てもしくは一部を増幅するに適した、ポリヌクレオチド配列を有する核酸もしくはオリゴヌクレオチドのことをいう。本発明の典型的なプライマーは、約5〜60ヌクレオチド長、より好ましくは約8〜約50ヌクレオチド長、更に好ましくは約10〜40、35、30又は25ヌクレオチド長の一本鎖核酸分子である。高い特異性を確実にするために、完全な相補性が好ましい。しかしながら、プローブについても考察したように、ある程度のミスマッチは許容され得る。]
[0059] 本発明の別の局面は、前記に定義したようなポリヌクレオチドを含む発現ベクター又はクローニングベクターなどのベクターに存する。このようなベクターは、プラスミド、組換えウイルス、ファージ、エピソーム、人工染色体などから選択され得る。多くのこのようなベクターは市販されており、当技術分野において周知の組換え技術に従って、例えばSambrook et al., Molecular Cloning (2d ed. Cold Spring Harbor Press 1989)(これは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)などのマニュアルに示された方法などに従って作製され得る。]
[0060] 本発明の更なる局面は、前記に定義したようなポリヌクレオチド又はベクターで形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞に存する。前記宿主細胞は、遺伝子的に改変され得、好ましくは培養され得る、任意の細胞であり得る。前記細胞は、真核細胞でも原核細胞でもよく、例えば哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、真菌、細菌細胞などであり得る。典型的な例には、哺乳動物の初代細胞又は株化細胞(3T3、CHO、Vero、Helaなど)並びに酵母細胞(例えばSaccharomyces種、Kluyveromycesなど)及び細菌(例えばE.coli)が含まれる。本発明はいずれかの特定の細胞型に限定されるわけではないこと、そして、共通の一般的な知識に従って全種類の細胞に適用できるということを理解されたい。]
[0061] 診断
本発明により検出又は診断のアッセイを行なうことができ、これを使用して、例えば、被験体に由来する試料から疾病の存在、非存在、素因、リスク又は重度を検出することができる。特定の態様において、疾病は癌である。用語「診断」は、遺伝薬理学法、予後などを含むものと解釈されたい。]
[0062] 特定の局面において、本発明は、被験体の試料を前記に定義したようなポリペプチドと接触させるように配置し、免疫複合体の形成を決定することを含む、被験体、好ましくはヒト被験体における疾病の存在、非存在、素因、リスク又は重度をインビトロ又はエクスビボで検出する方法に関する。最も好ましくは、前記ポリペプチドは支持体上に固定されている。好ましい態様において、前記方法は、試料を、前記に開示したような装置と接触させ、免疫複合体の形成を決定することを含む。好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片から選択され、最も好ましくは表5の45個のPAP(配列番号1〜3334に含まれる)から選択される。]
[0063] 他の局面において、本発明は、被験体の試料を前記に定義したようなTIAB又はTIABの一部又は対応するTCR含有細胞と接触させるように配置し、免疫複合体の形成を決定することを含む、被験体、好ましくはヒト被験体における疾病の存在、非存在、素因、リスク又は重度をインビトロ又はエクスビボで検出する方法に関する。最も好ましくは、TIAB又は対応するTCR含有細胞は、支持体上に固定されている。好ましい態様において、前記方法は、前記試料を前記に開示したような装置と接触させ、免疫複合体の形成を決定することを含む。他の好ましい態様において、TIAB又は対応するTCR含有細胞は、配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片から、好ましくは表5の45個のPAPから選択されるポリペプチドに特異的である。]
[0064] 本発明の特定の目的は、被験体における癌の存在、非存在、素因、リスク又は重度を検出する方法に存し、前記方法は、被験体の試料を、前記で定義したようなポリペプチドと接触するようにインビトロ又はエクスビボで配置し、免疫複合体の形成を決定することを含む。より好ましくは、前記ポリペプチドは支持体上に固定されており、配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片から、最も好ましくは表5の45個のPAPから選択される。]
[0065] 本発明の別の目的は、前記試料を前記に定義したようなポリペプチドと接触させるように配置し、このようなポリペプチドに特異的なTCRを発現している免疫細胞の存在を決定することを含む、生物学的試料、好ましくはヒトの生物学的試料において疾病の存在、非存在、素因、リスク又は重度をインビトロ又はエクスビボで検出する方法に関する。好ましくは、前記ポリペプチドは、配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片から、最も好ましくは表5の45個のPAPから選択される。]
[0066] 本発明の更なる局面は、被験体の試料を前記に定義したようなポリペプチドと接触させるように配置し、免疫複合体の形成を決定することを含む、被験体、好ましくはヒト被験体における転写非忠実度のレベルをインビトロ又はエクスビボで評価する方法に存する。最も好ましくは、前記ポリペプチドは支持体上に固定されている。好ましい態様において、前記方法は、試料を前記に開示したような装置に接触させ、免疫複合体の形成を決定することを含む。]
[0067] 本発明の更なる局面は、被験体の試料を前記に定義したようなポリペプチドと接触させるように配置し、このようなポリペプチドに特異的なTCRを発現している免疫細胞の存在を決定することを含む、被験体、好ましくはヒト被験体における転写非忠実度のレベルをインビトロ又はエクスビボで評価する方法に存する。]
[0068] 本発明の別の態様は、癌の処置効力を決定する方法に関し、前記方法は、(i)被験体の試料中の、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む少なくとも1個のポリペプチドのレベル、又はTIABもしくは対応するTCR含有細胞のレベルを決定し、(ii)前記レベルを、処置前に又は処置の早期段階で採取した前記被験体の試料中のレベルと比較することを含む。好ましくは、ポリペプチドは、配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片から、より好ましくは表5の45個のPAPから選択される。]
[0069] 本発明の更なる局面は、個体が、転写非忠実度により作られる異常タンパク質ドメイン配列を含む、特に配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを作っているかどうかを決定する方法に関し、前記方法は、前記個体から得られた試料を、前記ポリペプチドの存在を示す薬剤と接触させ、前記薬剤が前記試料に結合するかどうかを決定することを含む。]
[0070] 第一の態様において、被験体から得られた試料を、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む、特に配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片からなる群より選択される配列を含む、ポリペプチドに特異的な抗体に結合するポリペプチドと接触させるように配置する。]
[0071] 別の態様において、被験体から得られた試料を、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む、特に配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片からなる群より選択される配列を含む、ポリペプチドに特異的なTCRを含む免疫細胞に結合するポリペプチドと接触させるように配置する。]
[0072] 別の態様において、被験体から得られた試料を、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む、特に配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片からなる群より選択される配列を含む、ポリペプチドに特異的な抗体又はその一部と接触させるように配置する。]
[0073] 別の態様において、被験体から得られた試料を、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む、特に配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片からなる群より選択される配列を含む、ポリペプチドに特異的なTCRを含む免疫細胞と接触させるように配置する。]
[0074] 本発明は更に、被験体における癌の進行又は拡大をモニタリングする方法に関し、前記方法は、(i)前記被験体から得られた試料を、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む少なくとも1個のポリペプチドと接触させ、(ii)前記試料中のTIAB又は対応するTCR含有細胞のレベルを決定し、(iii)前記レベルを、参照レベルと比較することを含み、前記参照レベルは、癌に罹患していない被験体の平均値もしくは中央値、又は癌発症前の被験体の対照値である。好ましくは、前記ポリペプチドは、PAP12の配列を含み、その抗体の力価は、手術可能な患者と比べて手術不可能な患者では有意に上昇しており、これにより、疾病拡大に関連した指示が得られる。]
[0075] 試料中のTIAB又は対応するTCR含有免疫細胞の存在(又は増加)は、癌疾病の存在、素因、又は進行段階の指標である。それ故、本発明により、より効果的でカスタマイズされた適切な治療介入の設計が可能となる。また、発症前レベルでのこの決定により、予防レジメンを適用することができる。]
[0076] 本発明の診断法は、インビトロ、エクスビボ又はインビボで、好ましくはインビトロ又はエクスビボで行なうことができる。試料は、適宜、抗体又は免疫細胞を含む、被験体から得られた任意の生物学的試料であり得る。このような試料の例には、体液、組織、細胞試料、臓器、生検などが含まれる。最も好ましい試料は、血液、血漿、血清、唾液、精液などである。前記方法を実施する前に、試料は、試験のために抗体を入手するために又は入手し易くするために処置されていてもよい。処置には、例えば、以下の1つ以上が含まれ得る:細胞溶解(例えば機械的溶解、物理的溶解、化学的溶解など)、遠心分離、抽出、カラムクロマトグラフィーなど。]
[0077] 好ましい態様において、試験は血清又は血漿で行なわれる。]
[0078] 更に、最も好ましい態様において、試料は、試験前にEP08305293.6に開示されているように処理される。実際に、出願人は、試料が−20℃又は−80℃で新鮮凍結されて保存されていた場合、最適な試験条件は異なることを示した。より好ましくは、試験する試料は、抗体結合部位を露出させるか、結合部位のコンフォメーションを変化させるか、又は抗体結合部位を曝露するのに適した化学的又は物理的処理にかけられる。より好ましくは、処理には、試料を少なくとも36℃の温度で、抗体を活性化するのに十分な時間加熱することを含む。好ましい温度は、36℃〜70℃、好ましくは36℃〜60℃の間である。]
[0079] 試料中のTIAB又は特異的免疫細胞の存在、非存在、又は相対的な量の決定は、それ自体当技術分野で公知の様々な技術により行なうことができる。このような技術には、免疫複合体の検出法、例えば以下に限定されるわけではないが、ELISA、ラジオイムノアッセイ(RIA)、フルオロイムノアッセイ、マイクロアレイ、マイクロチップ、ドットブロット、ウェスタンブロット、EIA、IEMA、IRMA又はIFMAが含まれるがこれに限定されるわけではない(また、Immunoassays, a practical approach, Edited by JP Gosling, Oxford University Pressも参照)。特定の態様において、前記方法は、試料とポリペプチドを、免疫複合体の形成が可能な条件下で接触させ、第二の標識された試薬を使用して前記形成を明らかにすることを含む。]
[0080] 典型的な態様において、前記方法は、参照レベルと、測定されたTIAB又は免疫細胞
のレベルとを比較することを含み、ここでの差異は、被験体における機能不全、例えば癌の指標である。変化は、典型的には、参照値と比較して、10%、20%、30%、40%、50%又はそれ以上の変動である。より特定すると、参照値と比較したレベルの変化は増加であり、これは癌の存在の指標となる。]
[0081] 参照値は、癌又は疾病に罹患していない個体から決定された平均値もしくは中央値、対照患者から得られた参照レベル、癌発症前に被験体から得られた参照レベル、又は対照ポリペプチドを用いて得られたものであり得る。]
[0082] 好ましい態様において、参照レベルと比較した、前記試料中のTIAB又は免疫細胞のレベルの変化(例えば増加)は、癌の存在、リスク又は発達段階の指標である。]
[0083] 接触は、任意の適切な装置、例えばプレート、マイクロタイターディッシュ、試験管、ウェル、ガラス、カラムなどで行ない得る。特定の態様において、接触は、ポリペプチドでコーティングされた基材上で行なわれる。基材は、固体又は半固体基材、例えば、ガラス、プラスチック、ナイロン、紙、金属、ポリマーなどを含む任意の適切な支持体であり得る。基材は、様々な形態及びサイズであり得、例えばスライド、メンブラン、ビーズ、カラム、ゲルなどであり得る。接触は、ポリペプチドと試料の抗体の間で検出可能な抗体−抗原複合体が形成されるに適した任意の条件下で行ない得る。]
[0084] 特定の態様において、前記方法は、被験体の試料を、前記したような複数のポリペプチド(でコーティングされた支持体)と接触させ、免疫複合体の存在を決定することを含む。]
[0085] 特定の態様において、前記方法は、試料を、複数のセットのビーズと接触させることを含み、各セットのビーズは、前記に定義したような独特なポリペプチドでコーティングされている。]
[0086] 他の特定の態様において、前記方法は、試料を、前記に定義したような数個のポリペプチドがその上に整列されているスライド又はメンブランと接触させることを含む。]
[0087] 他の特定の態様において、前記方法は、試料を、マルチウェルタイタープレートと接触させることを含み、ここでのウェルの少なくとも一部は、前記に定義したような独特なポリペプチドでコーティングされている。]
[0088] 本発明は、被験体における任意の癌の存在、リスク又は段階を決定するのに使用され得る。これには、固形腫瘍、例えば以下に限定されるわけではないが、大腸癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌、肝臓癌、又は頭頸部癌、並びにメラノーマ、脳腫瘍などが含まれる。本発明はまた、液性腫瘍、例えば白血病にも使用され得る。本発明は、癌を発症するリスクのある被験体において、その早期の段階の癌さえも検出するための第一スクリーニングに使用され得る。第二スクリーニングにおいて、本発明は、検出に使用されるポリペプチドに応じて、癌の種類をより正確に同定するために使用され得る。この点において、図3に開示したように、PAP1、2、3、4もしくは7の配列(表5)又はそのエピトープ含有断片を含むポリペプチドにより、様々な種類の癌に罹患した患者の同定が可能となる。]
[0089] 特定の態様において、本発明は、肺癌の存在、リスク又は段階を決定するために使用され、前記ポリペプチドは、PAP1、2、4、6、7、24、25、28、29、44及び48(表5)(図4)又はそのエピトープ含有断片から選択される配列を含む。]
[0090] 薬物スクリーニング
本発明によりまた、候補分子がTIABレベル又は対応する免疫細胞をモジュレーションする能力を評価することにより、新規薬物の設計(又はスクリーニング)が可能となる。]
[0091] 本発明の特定の目的は、生物学的に活性な化合物を選択するか、特徴づけるか、スクリーニングするか、又は最適化する方法に存し、前記方法は、試験化合物がTIABレベルをモジュレーションするかどうかを決定することを含む。TIABレベルのモジュレーションは、特定のタンパク質に関して、又は予め定められたセットのタンパク質に関して、又は全体的に評価することができる。]
[0092] 本発明の更なる態様は、生物学的に活性な化合物を選択するか、特徴づけるか、スクリーニングするか、又は最適化する方法に存し、前記方法は、試験化合物をインビトロで遺伝子と接触させるように配置し、前記試験化合物が、前記遺伝子からの、転写非忠実ギャップ及び挿入を含むRNA分子の産生をモジュレーションする能力について決定することを含む。]
[0093] 本発明の更なる態様は、生物学的に活性な化合物を選択するか、特徴づけるか、スクリーニングするか、又は最適化する方法に存し、前記方法は、試験化合物をインビトロで前記に定義したようなポリペプチドに特異的なTCRレセプターを発現している免疫細胞と接触させるように配置し、前記試験化合物が前記細胞の活性又は増殖をモジュレーションする能力について決定することを含む。]
[0094] 前記のスクリーニングアッセイは、任意の適切な装置、例えばプレート、チューブ、ディッシュ、フラスコなどで行なわれ得る。典型的には、アッセイは、マルチウェルマイクロタイターディッシュで行なわれる。本発明を使用して、数個の試験化合物を平行してアッセイできる。更に、試験化合物は、様々な起源、性質及び組成であり得る。それは、単独の又は他の物質との混合物中の、有機物質でも又は無機物質でもよく、例えば脂質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、小分子であり得る。前記化合物は、例えば、コンビナトリアル化合物ライブラリーの全部又は一部であってもよい。]
[0095] 本発明の更なる局面及び利点は、以下の実験章に開示されており、これは説明として捉えられるべきであって、本出願の範囲を限定するものと捉えるべきではない。]
[0096] 実施例
A 材料及び方法
血漿試料
血液試料は、癌に関連していない生物学的試験の目的のために、地方の大学病院に通院している正常なヒト被験体(n=26)から採取した(Nancy University Hospital)。カルテは熟練医師により再検討され、これらの被験体は、急性の疾病に罹患しておらず、活動性の癌、アレルギー又は自己免疫容態が疑われないことが確認された。このグループには、癌リスク因子(例えば喫煙及び肥満)を有する患者が含まれており、対照の1人は、血液採取から10年前に子宮癌を手術で除去しており、1人は血液採取時に妊娠していた。慢性閉塞性肺疾患の患者(n=12)は、同じ科で採用されたか(n=6)、又は同じ病院の核医学科で採用された(n=6)。COPDの全患者において、血液採取時には憎悪エピソードがなかった。処置前のPET−CT癌拡大評価時に、様々な形態の固形腫瘍を有する患者(n=46)の試料採取を行ない、病理試料の解析により段階付けを完了した(Nancy University Hospital)。活動性NSCLCを有する患者(n=49)を、Strasbourg University Hospitalから採用し、これは肺癌の縦断的研究の一部であった。血液試料は、段階付けの時点で採取した。これらの医学研究施設に通院している全患者が、同意書にサインすることにより研究目的でその試料を匿名で試験することに同意した。これらの試料の収集及び解析は、フランスの法律に従ってフランス厚生省及び研究省に申告された。]
[0097] 生物情報学的手順
解析は、以下の改変を除き、以前に記載されている通りに行なった34。各々のESTを取り出し、データベースで入手可能な組織源を使用して、癌又は正常なセットの配列のいずれかに割り当てた。次いで、各配列を、MegaBlast2.2.1638を使用して、NCBI由来のヒトRNA RefSeqに対して一度アラインさせた。1つの最良のアラインメントスコアが保持された。その長さの70%を超えてはアラインしなかった各々のESTは考慮に入れなかった。1塩基配列変化を有する位置は、上流の10塩基及び下流の10塩基がRefSeqに対して完全に一致している場合にのみ考慮に入れた。各アラインメント末端における最初及び最後の50塩基は削除した。ギャップ及び挿入は、必要であれば、任意のn個の要素からなる最後のヌクレオチドに位置していた。]
[0098] 生化学的解析
同定されたKギャップ考慮に入れてコンピューター内でのRefSeqの翻訳により定められたaa配列を有するN末端ビオチニル化ペプチド、並びにアルブミン及びMRPL12遺伝子の基準配列に対応するペプチドは、様々な製造業者から購入した。試料を100倍に希釈し、IgGの検出は、市販の試薬を使用して製造業者の指示に従ってImmunoCAP100(Phadia, Uppsala, Sweden)で行なった。試料は、試料の不足に因る図3のいくつかの例外を除いて二重に解析した。癌及び対照の順序又は試験、並びにPAPの順序又は試験は無作為であった。内部標準が存在下していない場合、結果は、蛍光単位(FU)として表現されている。]
[0099] 統計学的方法
ESTの塩基組成の統計学的有意性、及び複数回の試験に因る偽陽性の推定のための試験は、以前に記載されているように行なった34。ノンパラメトリックな順位比較ウィルコクソン検定を使用して、IgG力価における差異を試験した。]
[0100] B 結果
TIギャップから生じたタンパク質ドメインの同定
ゲノム全体にわたるスケールでESTの不均一性を解析するために、我々は、2000年1月から2007年7までに発表された補正されていないdbEST39全配列から取り出した。これらの配列は、データベースに表示されているように、その起源が正常又は癌であるかに従って分離した。次いで、各々のESTを一度、NCBIの全てのヒトRefSeqRNA配列に対してアラインさせた(2007年7月)40。我々は、最初に、正常マトリックスと癌マトリックスの間の任意の所定のRefSeq位置に存在する統計学的有意差について試験し、次いで、複数回の試験に起因する偽陽性を推定した41。統計学的に有意な配列差異を有する位置は、変化が癌において過剰である場合にはK、正常において過剰である場合には逆にNと称する。]
[0101] 表1の結果から導き出された最も重要な観察は、Kギャップが、K塩基置換よりも更により頻繁に起こっていたことである。これらのギャップを規定する生物情報学的制約は厳しい:1塩基ギャップを有する所定のEST位置は、それが、フランキングしている上流の10塩基及び下流の10塩基がRefSeqに完全に一致している場合にのみ考慮される。ORF内に位置する2191Kギャップについての、正常及び癌のギャップを含むESTの比率が、図1に提示されている。顕著なことには、K挿入は、N挿入よりも5倍頻度が高く、KギャップはNギャップよりも約13倍頻度が高かった。Kギャップのp値はNギャップよりもはるかに低いので、統計学的な偽陽性の推定値を差し引くことにより比率は38へと上昇した。Kとは異なり、Nギャップは僅かであり、明らかに高率の偽陽性を含んでいた(表1)。それ故、我々は、ORF内に位置するKギャップの位置に関する更なる解析に焦点を当てた。] 図1
[0102] 表2は、我々の解析の項目を要約する。癌及び正常なセットで提示されるEST又は転写物の数の差異から生じる明白な片寄りは全く存在しないことは明白である。表1及び2から、癌細胞では、mRNA配列の変化、すなわち置換、挿入及びギャップは、1000塩基あたり1〜2個の割合で起こったと推定することができる。これは、体細胞突然変異の割合(106塩基(メガベース)あたり1〜2個)を大きく超えていた31。]
[0103] mRNAにおけるSBG(一塩基ギャップ、single base gap)は、体細胞もしくは胚の突然変異のいずれかにより、又はRNAポリメラーゼが一塩基DNAの読み取りを読み飛ばし、転写が進行することにより引き起こされ得る。我々はまた、スプライシング機構が前に又は後ろにスリッピングし、SBGが最初又は最後のエキソン塩基上に位置するようになるという仮説を考えた。しかしながら、後者の機序は、あり得そうもないことが判明した。なぜなら、同定されたSBGの99.2%が、エキソン−イントロン境界のすぐ近くには存在していなかったからである。]
[0104] 欠失しているmRNA塩基の組成は、以下の順序であった:U(47%)>C(39%)>>G(10%)>A(4%)。この分布は、無作為からは程遠く逸脱していた(適合度カイ二乗検定、両側、α=0.05、P=10−248)。また、それぞれ、U、C、G、及びAのギャップの99%、76%、98%及び95%が、1つ又は複数の同一塩基の反復配列内に位置していた。最後に、Uギャップの97%について、Gが下流のすぐ近くに見られた。従って、ゲノムDNA内容物は、一部、癌細胞においてmRNAギャップの起こる可能性を決定している。TI事象の存在に対するDNA内容物の影響の詳細な解析は、どこかで報告されるだろう。]
[0105] 異常なmRNAの検出
これらの生物情報学的結論を検証するために、我々は、qPCR及びシークエンスの後で予測された位置でSBGが起こってることが示されたプラスミドを、肺癌患者のcDNAライブラリーからクローニングした(図2A〜E)。我々は、同じ個体の正常組織から得られた同数のクローンを解析したが、配列変異は全く見つからなかった(データは示さず)。同じ患者の癌組織、隣接組織及び正常組織から得られたゲノムDNAの直接的なシークエンスにより、この位置において体細胞又は胚の突然変異のいずれも起こっていないことが明瞭に実証された。我々は、同定されたmRNAギャップがクローニング過程中に人工的に作られたことを除外できない。しかしながら、そのような事象が、生物情報学により予測された位置と正確に一致することはありそうにない。従って、癌細胞における、低い比率であるが検出可能な比率のmRNAが、ゲノムDNAの忠実なコピーではなかったと仮定することは妥当であった。] 図2A 図2B 図2E 図3A 図3B 図4B 図5A 図6A 図6B 図7A
[0106] 材料及び方法
プラスミド調製:
pBADプラスミド(Invitrogen)を使用することにより、クローニングされた配列の上流に誘導性プロモーターを持たせた。pBS−SK+プラスミドから増幅されたαペプチド配列を、pBADプラスミドのCCATGGクローニングサイトに存在するATG配列の位相外にクローニングすることにより、pBAD−αプラスミドを作製した。クローニングされた配列の非存在下では、αペプチドは全く産生されず、E.coliコロニーは白色である。]
[0107] インサート調製及びクローニング:
同じ個体から得られた癌性の肺組織及び隣接する正常組織のcDNA(Biochain Inc.)を、CFL1遺伝子に相補的なオリゴヌクレオチド及び高忠実度のPhusionポリメラーゼ(Finnzyme)を使用し、製造業者の推奨に従って、PCRにより増幅した。次いで、cDNAをNucleospin Extract IIカラム(Macherey Nagel)で精製し、アガロースゲル上で可視化し、NcoI及びNheI制限酵素(Biolabs)で消化した。次いで、生成物を、同酵素で消化され、脱リン酸化されたpBAD−αプラスミドとライゲートした。E.coliTOP10(Invitrogen)細胞を、ライゲーション混液で形質転換し、LBアンピシリン(100mg/L)アラビノース(0.5%)X−Gal(80μg/mL)プレート上に播種した。]
[0108] コロニースクリーニング:
ギャップを含まないCFL1配列をクローニングする場合、αペプチドはATGを有する位相にはない:コロニーは、白色である。ギャップを有するCFL1配列をクローニングする場合、αペプチドが産生され、不活性なβ−ガラクトシダーゼ(細菌のゲノム上に存在)が補完され、E.coliコロニーは青色となった(図2B)。] 図2B
[0109] 青色のコロニーを、アンピシリン(100mg/L)が補充されたLB培地で増殖させ、1μLの培養液を、CFL1特異的オリゴヌクレオチド及びSyber-green I(Sigma)を使用してリアルタイムPCRによりスクリーニングした(図2C)。最初のオリゴヌクレオチド(図では緑色)は、両方の配列に特異的であり、プラスミドコピーの数は、2つの試料間で差異はないことが示される。第二のオリゴヌクレオチドはCFL1参照配列(Refseq)に特異的であり、配列がRefseqと同一ではない場合にCt間に差異が示される(図では赤色)。Ct間に差異を示すクローンのプラスミドDNAを抽出し、プラスミド上に存在するオリゴヌクレオチドを使用してシークエンスした(GATCbiotech)(図2C)。配列は、CFL1参照配列に対してアラインさせた。] 図2C
[0110] TIAB検出
図1は、癌のセット(Y軸)及び正常なセット(X軸)の両方における各K位置について記録された逸脱の比率を示す。Kギャップは、少数(532又は1.4%)の転写物上に分布していた(図1の挿入図)。これらのmRNAはその基準のリーディングフレームを欠失しており、異常なおそらく免疫原性のタンパク質へと翻訳されるだろう。この仮説を試験するために、我々は、2206ORFのギャップ位置を示す15個のKギャップのパネルを選択し(表5、PAP1〜15)、それは、8つの異なるヒト染色体上に分布していた。これらの15個の位置は、それぞれU、C及びGが8個、5個及び2個脱落することから生じた。我々は、一塩基ギャップを有するmRNAの翻訳から生じると予測されたAA配列は、1)12よりも長いAA配列をコードし、2)7個を超える連続的なAAにわたりいずれの公知のヒトタンパク質とも一致せず(Swiss-Prot42)、3)互いにAA配列相同性を全く持たないことを検証した。我々はまた、選択されたKギャップが、Sanger Institute Catalogue Of Somatic Mutations(http://www.sanger.ac.uk/cosmic)43によっても、また今回のスクリーニングに関与している15中11個の遺伝子が含まれている2つの近年の大規模な深部癌細胞ゲノムのシークエンス努力31,32によっても、癌体細胞突然変異としては同定されなかったことを確立した。Kギャップは、生物学的に確証されたSNP又は推定上のSNPには対応しなかった。最後に、最も近年のdbSNPデータベースのアップデートによると(2007年9月21日)、規定された位置の上流における単一ギャップにより引き起こされるものと同一なフレームシフトを導入するSNPは全く存在しなかった44。] 図1
[0111] 血液試料は、2つ以上のグループに分類されたヒト被験体から採取した。全ての試料は残留血清である。少なくとも1つのグループには、活動性の癌を有する患者が含まれている。全てのグループ(対照及び活動性癌を含む)に関する臨床データが収集され、熟練医師により確認される。対照に関するデータには、癌リスク因子も含まれ得る。癌患者に関するデータには、段階付け及び処置に対する応答が含まれ得る。グループは、TIABのパネル並びにその特異性及び特定の診断適応に対する感度(例えば、早期癌検出、癌の種類の同定、疾病の重度及び進行の予測、又は処置に対する応答)を評価するために設計されている。]
[0112] これらの予測異常ペプチド(PAP)に相当する合成N末端ビオチニル化ペプチドを製造し、ストレプトアビジンEliaウェル(Phadia, Uppsala Sweden)上に個々にコーティングした。46人の癌患者(試験I)及び26人の対照被験体(表4)の血清を、ブランク(ペプチドでコーティングされていないウェル)又はペプチドでコーティングされたウェルのいずれかと共にインキュベートした。洗浄後にウェルに結合したIgGは、蛍光を発する市販の二次抗ヒトIgG不変ドメイン抗体を用いて明らかとさせた。最初の解析において、所定の被験体において任意の所定のPAPを用いて測定された蛍光強度は、ペプチドでコーティングされていないストレプトアビジンウェル(ブランク)を使用して同被験体において測定された蛍光強度から差し引かれた。対照患者に対して癌患者で示された結果は、PAP1、2、4、7に対して指向されるIgGの統計学的に有意な増加を示した(ウィルコクソン検定、それぞれ、P<2E−8;P<2E−3;P<5E−2;P<3E−2)(図3A)。若年者(50歳未満)と高齢者(50歳を超える)の正常被験体に検出されたいずれのIgGレベルにおいても統計学的有意差はなく(ウィルコクソン検定=NS)、対照の性別に起因した統計学的有意差もなかった(ウィルコクソン検定=NS)。我々は、次に、PAPに対して指向されるIgGの検出により、癌被験体と対照被験体の間の識別が可能となるかどうかを試験した。試験は、PAPでコーティングされたウェルとブランクウェルの間の蛍光強度の差異が、対照グループで測定された最も高い蛍光強度値よりも高い場合に陽性と判断した(図3の明るい赤色及び暗い赤色)。従って、特異性は任意に100%に設定された。これらの条件下で、1つのPAPを除く全てのPAPにより、少なくとも1人の癌患者が検出され;15中6個のPAPにより、10%を超える患者において対照を超えるIgGレベルが同定された。合わせて考えると、最も一般的な7つの形態の固形腫瘍を有する46人中35人の患者(76%)が、対照グループにより規定される閾値を超えるIgGレベルを有していた。図3は、大腸癌、肺癌及び頭頸部癌患者は、より多様化した陽性シグナルパネルを示し、それぞれ、11、10及び8個のPAPに対して陽性であったことが示される。乳癌患者のIgGは、6個のみのPAPにしか結合しなかった。この多様性は、卵巣癌、皮膚癌及び子宮癌の患者では更に減少していた(図3)。] 図3A
[0113] 従って、この最初の15個のPAPパネルを用いた場合に、肺癌についての網羅及び感度は最適であった。感度の高い早期段階の肺癌検査は全く存在せず、従って、この段階での診断は稀であり、5年生存率は僅か14%(46)である。]
[0114] 早期段階の肺癌診断のためのTIABの検出
本発明の重要な意義は、早期段階の肺癌診断が、簡単な血液検査に基づいて可能となるということである。データの解析には洗練された統計学的方法が全く必要とされないため、過剰適合のリスクは最小限となる10。また、我々の試験は体系的なバイオマーカーの探索ではなく、むしろ生物情報学的予測に基づいて導き出された仮説であるので、複数回の試験に因る片寄りのリスクは低かった10。しかしながら、このような所見に臨床的意義があることから、我々は、独立した試験での再現を求めた。]
[0115] TIABの特徴のパネルを構成している表5の45個のPAPから選択されたAA配列を有する合成N末端ビオチニル化ペプチドは、様々な製造業者から購入され、Reacti-Bindストレプトアビジンでコーティングされたプレート(Pierce Biotechnology, Rockford, Illinois)上に個々にコーティングされる。試料は100倍に希釈され、二重に解析される。ペプチドに結合した血清中IgGは、酵素、特にホスファターゼとコンジュゲートされた、市販の二次抗ヒトIgG不変ドメイン抗体により明らかとなる。蛍光基質との反応は、市販の試薬を使用して行なわれる。蛍光読み取りは、FLUOstar Galaxyマイクロプレート読み取り機(BMG Labtech, Offenburgm, Germany)で製造業者の指示に従って行なわれる。]
[0116] 特定の診断適用のために設計された少なくとも2つのグループのヒト被験体を分離するための閾値を確立できる場合、この適応のためにTIABパネルが選択される。選択されたTIABにおいて、1つのグループの絶対蛍光強度は閾値よりも高く、同じように他のグループで測定された蛍光は閾値よりも低い。]
[0117] 疾病の進行又は拡大をモニタリングするためのPAPの選択
我々は、以前の実施例の方法に従って(特定の診断適用のためのPAP/TIABの選択)、疾病の進行又は拡大の様々な段階を示す患者グループのパネルからPAPを選択することから始めた。我々は、次に、様々な段階の非小細胞肺癌(NSCLC)を示す49人の第一患者グループにおけるこのPAPパネルの効力を試験することから始めた(図4)。]
[0118] 血液試料は、25人の健康対照、肺癌疾病に罹患していない12人の被験体、及び診断時には、様々な段階のNSCLCに罹患していた49人の患者から得た(表4、試験II)。これらのNSCLC患者は、フランスにおけるこの疾病の現在の状態を代表していた。信頼性のある初期段階での検査手順が存在しないために、大半のNSCLCは、進行疾病と診断され、僅か20%だけが初期段階にあった。各患者及び対照における表5の37個の最初のPAPについて記録された蛍光強度(FI)の結果は、図4Aとして示されている。グループ間の統計学的有意差は、ウィルコクソン検定により決定され、結果は、各パネルに示されている。37中33個のPAPにおいて、対照と比べて肺癌患者ではFIが有意に増加していることが分かる。10個の最も際立ったPAPでは、ウィルコクソン検定のP値は、10−15から10−10の範囲であった(図4B)。PAP1のみが、対照とNSCLCを完全に識別することができる(特異性=100%、感度=100%)。] 図4A 図4B
[0119] 従って、SBGを有する異常mRNAの翻訳の副生成物は、NSCLCに対する体液性免疫応答をモジュレーションするのに寄与するという仮説は、妥当であるようであった。我々は、PAPに結合しているIgGがそのAA配列に特異的であることを試験することによりこれを検証した。従って、我々は、アルブミンペプチド(最も際立ったPAPの遺伝子1及び3の基準ゲノム読み取りに相当するペプチド)に対して指向されるIgGレベルから、その対応する基準ペプチド(CP)に対して指向されるIgGレベルまで測定した。これらのCPは、PAP(7、24、28)をコードする同じ遺伝子及びセグメントによりコードされているが、そのAA配列は、基準のヒトゲノム読み取りから得られ、すなわちフレームシフトを含まない。データにより、肺癌患者では、CPに対して指向されるIg力価は、PAPに対して指向されるIg力価よりもはるかに低く(図5)、CPにより、症例と対照の間で識別されなかったことが示される(ウィルコクソンNS)。]
[0120] マウスにおけるTIABの検出
TIABの概念を他の哺乳動物にまで広げ、TIABの検出は癌により引き起こされることを検証するために、我々は、この観察をマウスモデルに置き換えようとした。我々は最初に、対照からNSCLC患者を効果的に識別する5個のPAPを選択した。図6Aに示されているように、これらの中の3個は、マウスとヒトの間でゲノムレベルで高度に保存されている遺伝子に由来している。最も重要なことには、影響を受ける可能性のある塩基が両方の種において同一であり、上流の4塩基及び下流の2塩基についてもそうである。我々は、以前に、TI事象の発生を可能とするこの短いDNA内容物の重要性を示していた34。2個の他の選択されたPAPは、マウスとヒトの間で保存されてない遺伝子に由来していた。PAP9を生じ得る遺伝子は、ヒトには存在しているがマウスゲノムには存在していない。マウスでは、PAP2の翻訳をもたらす予測された遺伝子位置においてSBGが起こることにより、7つのAAをコードした後に終止コドンが導入された。PAP7のCPに相当する追加の陰性対照も含められた。免疫適合性(C57Bl6)マウス(n=12)に、マウスルイス肺癌(LLC1)が皮下接種された45,46。5個のPAP及び1個のCPに結合しているIgGを、LLC1移植前に、1週間毎に21日目まで測定した。この時点で、平均的な腫瘍サイズは、3.15+/−0.4cm3であった。図6Bに示されているように、PAP7、PAP48及びPAP62に対するIgGは、腫瘍移植から2週間後に有意に増加した。対応t検定のP値は、PAP7、PAP48及びPAP62についてそれぞれ、1×10−4、3×10−4、9×10−4であった。CP7に対して指向されるIgGレベルの有意な増加は観察されなかった。] 図6A 図6B
[0121] 材料及び方法
細胞培養
マウスルイス肺癌細胞株(LLC1)は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手した。細胞を、10%FBS、ストレプトマイシン(0.1mg/ml)及びペニシリン(100単位/ml)の補充されたRPMI1640培地(Invitrogen, France)を含む75cm2のフラスコ中で培養し、空気中5%CO2を含む加湿雰囲気中で37℃で維持した。]
[0122] 腫瘍移植
LLC1腫瘍細胞(0.1mlの最終容量のRPMI1640中に5×105個の細胞)を、7週令のC57bl/6雌マウス(Janvier, France)の右後四半部領域に皮下注射(s.c.)した。LLC1細胞の皮下注射から21日後、腫瘍容積を、各腫瘍の交差する直径を測定し、式V=a2×b×0.5236(「a」は大きい方の直径、「b」は小さい方の直径)を使用して計算することにより測定した。腫瘍細胞の皮下注射前に、100μlの血液試料を、イソフルランによる麻酔下でT0として採取した。1週間に1度、100μlの血液試料を、イソフルラン麻酔下でEDTAチューブ中にT7、14及び21日目に採取した。]
[0123] 臨床的な検証
本発明のPAP組合せにより頑強な肺癌診断が可能となるという事実を検証するために、我々は、大規模な後向き症例対照研究を実施し、これには、161人の対照被験体が含まれ、それらの被験体は18歳から65歳までの健康な血液ドナーであり、喫煙者は除外された。患者は、初期段階の非小細胞肺癌を有する140人の個体であった。これらの患者の血液を、診断時に収集した。このグループの全ての患者が手術による介入基準に適合し、従って、大半が初期段階であった。このグループの全ての患者が手術を受け、従って、全ての患者における手術後の段階付け及び病理学的分類が得られた。このグループの患者は、手術前の化学療法又は放射線療法は受けなかったことを強調しなければならない。対照及び患者の臨床特徴は、表4の試験IIIとして示されている。患者及び対照は、特定の実験条件下で測定された6個のPAPに対して指向されるTIABについて試験された。このマーカーの組合せの診断値の統計学的解析は、サポートベクターマシンを使用して決定された。代替的な分類法の成績を分析した後にSVMを保持した。SVMは、6次元超平面を規定し、この超平面までの対照及び患者の個々の距離の測定値を提供する。それ故、データは、各被験体において超平面までの相対的な距離として提示される。癌患者と対照の2つの個体群が良好に分離されたことが分かる(図7A)。全体的な試験の成績は、86%の感度及び97%の特異性であった。5人の対照のみが、超平面の間違った側に存在している。そして19人の肺癌患者が、超平面の間違った側に存在している。反復した交差試験の後、感度及び特異性はそれぞれ82%及び95%であった。感度は、若年者と高齢者の患者の間で差異はない(図7B)。データの吟味により、この試験の感度は、腺癌患者においては低く、76%の感度と診断されており、これに対し、他のクラスである非小細胞癌の試験成績では、90%を超える感度であることが分かる。これらの試験成績の差異は、統計学的に有意であった(図7C)。] 図7A 図7B 図7C
[0124] 肺癌における手術の利点は十分に確立されている。この利点は、平均余命の増加だけにつながるのではなく、決定的な治癒にもつながり、これは診断数及び死亡数の解析により確認されている。フランスでは、これらの数は、新規診断数では約33000、死亡数では約28000である。従って、5000人の患者が肺癌から治癒(すなわち15%)していることを確実に確認することができる。全ての肺癌からの生存者が手術手順を受けているが、手術を受けた全ての肺癌患者が治癒されているわけではない。現在、手術のみから利点が得られた個体と、手術のみから利点が得られているわけではない患者とを識別する手法は全くない。従って、我々は、診断時に重度の予測に関して、6個のPAPに基づいてこの試験の成績を評価しようとした。これを達成するために、我々は、試験個体群を2つのグループに更に分類した。第一グループに入るのは、36カ月を超えて疾病を伴わず生存している証拠を我々が記録した患者である。第二グループでは、患者は、手術後から36カ月以内に死亡したか、又は疾病が再発した。我々は、経過観察が36カ月未満であった患者は含めなかった。なぜなら、単に、これらの個体の経過観察時間は短すぎて結果を確信できないからであった。次いで、我々は、類似のサイズであるこれらの2つの患者グループにおける超平面までの距離を比較した。図7Dのデータから、手術から強い利点を得て、3年目においても疾病に患っていない患者は、手術による利点がより少なかった患者よりも、超平面に対する距離が有意に長かった(P=0.005)。この所見には、直ちに行なわれるべき2つの適用が含まれている。第一に、この試験が、早期段階の肺癌の患者を同定し、手術により最も好ましい利点を受けるであろうことである。試験で陽性と診断されたが、超平面への距離が短い患者に、第二の適切な代替的な治療介入が行なわれるべきである。このような代替的な措置は、従来の放射線療法又は化学療法であり得る。しかしながら、我々の現在のデータの解釈は、肺癌の存在に対する免疫学的応答の低い患者は、手術のみからでは利点を受ける可能性が低いことである。この点から、手術前又は手術後すぐにその免疫学的応答を薬理学的に高めることが有用であり得る。それ故、我々は、ここに、将来の革新的な治療戦略の指針としてのPAP発見の重要性を例示した。] 図7D
[0125] 我々は、次に、特定の実験条件下で様々なPAP組合せを試験することにより、肺癌特異的である検査を開発しようとした。新規なPAPの組合せにより、対照と比べて肺癌に対して、100%の特異性及び90%の感度が達成された。最も重要なことには、乳癌患者に適用した場合、乳癌患者の20人中3人のみが検査で陽性を示した。従って、肺癌と乳癌の比較において、患者のそれぞれ10%及び15%が誤って分類されている。我々は、このエラーの割合により、不必要で費用のかかる下流の診断手法が行なわれるであろうと判断した。肺癌の経過観察的な診断は、胸部CTスキャンであり、一方、乳癌のそれはマンモグラフィー又は超音波検査である。Petスキャンが、疾病の拡大の評価に有用である。従って、我々は、乳癌から肺癌をより効果的に識別できる特異的な検査を開発した。4つのPAP組合せが、この目的を達成することが判明した。これらのマーカーの組合せは、図8Bに例示されている。4つ全ての場合において、肺癌患者は、乳癌患者から識別され、1〜3人の患者が重複していた。これらのマーカーの組合せの臨床的意義が提起される。なぜなら、疾病の重度に関するその予測値には、更なる評価が必要とされるからである。我々は、実際に、肺について例示されたのと同じように、乳癌の臨床結果を予測する特定のPAPの組合せが大規模研究において判明するであろうと予測している。これが達成され得る前に、特異的な乳癌検査が必要とされる。我々は、現在、特定の条件下で対照から乳癌を60%の感度及び95%の特異性でもって同定する、3つのマーカーの組合せを同定した(図8C)。我々の現在の見解は、簡単な血液検査から初期段階の最も一般的な癌の存在を示す、PAPの組合せを同定できるだろうということである。第二のPAP組合せは、疾病の正確な位置を的確に示し、これにより、適切な二次診断手順、例えば、CTスキャン、マンモグラフィー、超音波検査、フィブロスコピー(fibroscopy)、内視鏡検査、生検の選択が可能となるだろう。第三系列のPAP検査により、手術による処置に対する各々の個体の応答に関する予後が提供され、それ故、追加の治療措置の必要性に関する示唆が提供されるだろう。第四系列のPAPにより、疾病の再発及び/又は処置に対するその好ましい応答をモニタリングするためのツールが提供されるだろう。] 図8C
[0126] C 考察
我々は、弱いが多様なIgGの産生を引き起こす、新規で予測可能で不均一なヒト癌細胞タンパク質の供給源を同定した。これらの低力価の特異的IgGの的確な検出により、初期段階の癌診断に有望な機会が与えられ、疾病拡大に関する情報が提供され得る。この発見は、異常ペプチドに対して指向される特異的IgGの免疫学的検出を伴う生物情報学的予測の収束から得られる。PAP配列を含むタンパク質は、正常なヒトmRNAからは翻訳され得ず、一塩基ギャップのためにその基準のゲノム情報を欠失したmRNAのみから翻訳され得る。]
[0127] 我々のデータにより、単一ギャップを有する予測mRNAは、癌細胞に存在し、少なくとも部分的に翻訳されているという結論が支持される。同定されたESTギャップの発生は、あまりにも頻繁であることから、癌体細胞突然変異によって作製されているのではない31、32。現在の癌体細胞突然変異率の推定値は、12個の欠失と予測されているが、その中の4つは単一ギャップであろう。その代わりに、我々は、2206個の統計学的に有意な事象を観察した。また、選択されたギャップのいずれも、推定又は生物学的に検証されたSNPには対応していなかった44。従って、mRNAギャップはゲノムレベルで生じていそうではなく、従って、下流で、すなわち、転写中又は転写直後に起こっているに違いない。]
[0128] プレ及び成熟mRNA塩基は酵素により改変され得ることが確立されているが、一本鎖ヒトRNAから一塩基を除去する公知のヒトmRNA校正酵素は全く示されていない47。トリパノソーマミトコンドリアmRNAエディトソーム(editosome)はU特異的な欠失を行なうことができることが示されている48。しかしながら、トリパノソーマ(Trypanosoma)及びリーシュマニア(Leishmania)エディトソームタンパク質の相同体はヒトゲノムにおいて全く見つかっていない。更に、この校正機序は、U特異的であり、ヒト癌における観察された53%のUではないギャップを説明することができない。我々は、スプライシング機構が前又は後にスリッピング(slipping)することにより、エキソンの最後又は最初の塩基のいずれかに影響を及ぼす一塩基ギャップが導入され得る可能性を考えた。試験したギャップはいずれも、このような位置には存在しなかった。更に、後者の機序は、あり得そうもないことが判明した。なぜなら、同定された2000個を超えるSBGの99.2%は、エキソン−イントロン境界のすぐ近くにはなかったからである。最後に、EST塩基置換についても実証されたのと同じように、短いDNA内容物が、癌ESTギャップの発生にも強い影響を奏功していることは明らかである34,36,37。それ故、我々は、現在、Pol IIによる一塩基取り込みのスキッピング、すなわち、TIが、ギャップのあるmRNAの発生を引き起こしていると仮定している。]
[0129] 我々は、更に、予測された位置で起こっている単一のギャップを有するmRNAは、癌細胞において、体細胞又は胚の突然変異を伴わずに起こっていることを例示した。従って、転写非忠実度の生物情報学的概念は、ヒトにおいて生物学的に検証されている。]
[0130] ここで報告されている所見の第二の最も重要な結果は、ヒトゲノムの基準読み取りが、癌細胞の不均一性を説明するのには不十分であるということである。それ故、我々は、転写非忠実度が、癌細胞において増加していると提案する。この提案を支持している証拠は、以下の通りである。第一に、我々は、以前に、DHPLCにより、癌細胞のmRNAは、正常細胞から単離されたものよりも不均一であることを示した34。正常mRNAと比べて癌mRNAにおける配列変異が増加していることは、SAGE実験に依拠する独立した研究により確認されている。第二に、全ての利用可能なヒトmRNA由来配列の解析により、正常ライブラリーに比べて、癌ライブラリーにおける塩基の置換、挿入及びギャップ(SBG)の統計学的に有意な増加が示された。これらの事象の発生は、癌体細胞突然変異の事象と比べて103倍の頻度である。DNAレベルで存在する場合、この突然変異の割合は致命的である可能性が最も高い。従って、これらの変異は、転写中又は転写直後に起こり、プレ及び成熟mRNA、すなわち一過性分子にのみ影響を及ぼすと想定することが妥当である。第三に、mRNAから一塩基を除去又は追加でき、その後、配列を再構築できる、分子機序はTI以外には全く知られていない。従って、ヒト肺癌細胞においてDNAレベルでの突然変異を伴わずに起こっている予測SBGを直接的に観察することにより、RNAPは、一塩基DNAの読み取りをスキップし得、それにも関わらず進行し得ることが示される。最後に、他のグループの研究により、TIは、インビボで癌の非存在下でさえ起こることが示された。特に、BrattleboroラットにおけるGAGAG配列内で起こったGA欠失により、バシプレッシン転写物は正常へと復帰し、これにより、尿崩症が抑制される。βアミロイド及びユビキチンBの反復A配列に影響を及ぼしている転写フレームシフトにより、アルツハイマー病斑の免疫学的染色により検出されるタンパク質が生じる。]
[0131] 我々は、現在、癌mRNAの不均一性の増加は、発癌の原因ではなくむしろ結果であるという仮説を支持している。実際に、我々は、未分化大細胞リンパ腫を発症し、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の転座を示す、小児の血清中に、我々の現在のPAPパネルに対して指向される特異的IgG抗体を検出している(G Delsol and B Bihain、未発表の結果)50。げっ歯類の研究により、このキナーゼの構成的発現を引き起こす転座は、主要な発癌事象であり、これのみで形質転換を引き起こすのに十分であることが実証された51。従って、機能的に関連性のない遺伝子をコードしている異常mRNAの産生を反映する(この特異的な転座の一部ではない)陽性シグナルの検出により、この現象は、この発癌病変の結果として起こることが示唆される。しかしながら、TIは発癌の加速に寄与し得る。実際に、転写、翻訳及びDNA修復の調節に関与する数個の遺伝子(推定される遺伝子機能が、PAP選択過程の一部ではないために、本研究には含まれていない)が、Kギャップを用いた生物情報学を通じて同定されている。従って、我々は、疾病の重度が進行するにつれて多様性及び強度の増加する自己触媒過程に取り組むことができる。]
[0132] 生物情報学により、mRNAにおけるSBGの発生は、一般的な癌の特徴であることが示された。それにも関わらず、IgGプロファイルの差異はまた、リンパ腫の患者(N=27)にも見られた。NSCLCでは一般的に陽性であるPAP1及び2は、濾胞性リンパ腫患者及び未分化リンパ腫患者の両方において陰性であった。これは、未分化大細胞リンパ腫では一般的に陽性であるが濾胞性リンパ腫では陽性ではないPAP4及び7とは対照的であった。それ故、多様な利用可能なPAPパネル(2000個を超える候補)を用いて、我々は、腫瘍特異的なPAPパネルを設計することを提案する。我々は、乳癌患者から肺癌患者を効果的に分離するPAPの能力を実証することにより、この概念を例証した。]
[0133] 一塩基ギャップを有するmRNAが、少なくとも一部は異常タンパク質へと翻訳されるという我々の結論により、癌細胞においては、ナンセンス変異依存mRNA分解機構に欠陥があり得ることが示唆される52。現在のプロテオミクスにおける努力を考えると、このような高度に多様化された異常タンパク質パネルがこれまで検出されずにいたことは驚くべきことである。説明は2通りある。1)質量分析によるタンパク質同定は、既知又は推定AA配列により規定される予測スペクトルを用いて観察される一致に依拠している53。mRNAギャップから生じる異常タンパク質のAA配列は、現在のタンパク質データベース(Swiss-Prot/TrEMBL42)にはなく、従って、MS/MS分析により同定できない。2)プロテアソームが、異常の可能性がある免疫原性ペプチドを生じる異常タンパク質を迅速に分解する54。]
[0134] TIは癌において増加しているという概念により、現在の癌バイオマーカー発見戦略に疑問が投げかけられ、新規な方法が提案されている。体系的な癌プロテオミクスアプローチにより、矛盾した結果が得られたが、この多様性は、分析前の条件のばらつきに起因していた。これは非常によく当たっているかもしれないが、別の説明も今回考えなければならない。癌細胞タンパク質不均一性が現在の推定値よりも大きく超えていることを受け入れる場合、試料サイズが、高度に多様化したタンパク質変異体レパートリーを完全に探索するのには不十分である可能性がある。現在のプロテオミクスの別の限界は、以前に記載したように、質量分析データが、基準のヒトゲノム読み取りを用いて現在解釈されていることである。従って、異常AA配列を有するタンパク質は、適正な同定から除外されている可能性がある。それ故、方法論的な変化だけでなく概念的な変化が、癌プロテオミクスが成功するには必要とされるようである。本発明による転写非忠実度を考えることにより、より信頼性が高く関連性のあるバイオマーカーを同定することができる。]
[0135] 我々は、マウス癌細胞において、高度に保存されているが機能的に関連性のない遺伝子によりコードされている3つの異常タンパク質を示した。LLC1において最も豊富な異常タンパク質は、ポリ(A)結合タンパク質細胞質1(PABPC1)(PAP62)に由来するものである。PABPC1は、通常、mRNAポリAに結合し、中途終止によりmRNAを分解するナンセンス変異依存分解機構(NMD)経路をモジュレーションしている。中途終止コドンの下流にPABPC1を繋ぎ止めることによりNMDが消失する。LLC1における第二の最も豊富な異常タンパク質は、ビメンチン遺伝子(VIM)によりコードされていた(PAP48)。ビメンチンは、細胞膜を支持し、所定の場所に核及び細胞小器官を保持し、並びに微小管と会合することに寄与する、ホモ及びヘテロの両方の多量体構造を形成する、III型中間径フィラメントタンパク質である。第三の最も豊富な異常タンパク質は、IK遺伝子によりコードされているものであった(PAP7)。IKの正常な機能は、インターフェロンガンマにより誘導されるクラスII主要組織適合複合体の発現を阻害するサイトカイン機能である。IKはまた、軟骨肉腫結合タンパク質2としても同定されている。癌細胞においてこれらの変異体が存在することの結果は、現在分かっていない。しかしながら、癌細胞の生態に強く干渉している可能性は排除されてはならず、癌細胞の代謝的変化、形態学的変化、並びにmRNAの不均一性に対するその寄与については、更に調査が必要とされるだろう。この段階で、我々は、大半のPAPが、ヒトにおけるNSCL癌及びマウスにおけるLLC1に対する体液性免疫応答をモジュレーションしたことを確立することができた。我々は、癌細胞によるこれらの異常タンパク質の産生が、ドミナントネガティブ又はポジティブな効果を通じて細胞機能を有意に改変し得ると予測する。従って、これらの3つの高度に保存された遺伝子は、新規な治療ターゲットを提供し得る。]
[0136] マウス肺癌モデルの解析により、LLC1の存在と抗PAPIgGの検出の間に因果関係が確立された。従って、抗PAP IgGは、癌により引き起こされる正常でタイムリーな免疫応答の一部として出現した。興味深いことに、マウスでは、抗PAPIgGレベルは、肺癌を有するヒトで測定されたレベルよりもはるかに高かった(100倍)。肺腫瘍の相対的サイズもマウスの方がはるかに大きく、LLC1は皮下組織に異所的にインプラントされたという事実により、これらの差異についての可能性ある説明が提供された。]
[0137] 本発明は、それ故、癌が体液性免疫応答をモジュレーションする新規な機序を記載している。この段階において、我々は、新規機序であるTIが、癌細胞mRNAの不均一性の劇的な増加に寄与し、これらの異常メッセージの一部は異常タンパク質へと翻訳され、そのいくつかは癌細胞に蓄積され、その大半は、癌体液性免疫応答をモジュレーションしたと提案する。従って、本発明は、活動性の癌に罹患していない患者から、癌患者を正確に識別することを可能とする製品及び方法を提供する。従って、リスクのある個体の体系的な生化学的スクリーニングを精密化し、陽性検査を用いて患者の全身造影を行ない、初期段階で診断される被験体の比率を増加させることが可能である。]
[0138] LBEは、位置に基づいた偽陽性の割合の推定量を意味する。]
[0139] ]
[0140] 2000年1月から2007年7月までの補正されていない公共データベースに発表された全ての利用可能なヒトESTの取り出し後に導き出された解析の結果。表はまた、第一(有効>70)及び第二の統計学的検査基準に一致する位置の数を示す。]
[0141] 表3.TIペプチド及び核酸の配列


























































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































表3a:2206ギャップTIペプチドの核酸配列及びアミノ酸配列。本文書で言及されるような配列番号1〜2206は、表3aの6列目に示されるペプチド配列を示す。
表3b:1128挿入TIペプチドの核酸配列及びアミノ酸配列。本文書で言及されるような配列番号2207〜3334は、表3bの6列目で示されるペプチド配列を示す。]
[0142] ・国際対がん連合(UICC):悪性腫瘍のTNM分類。4th ed.Hermanek P, SobinLH, eds. Berlin, Heidelberg, New York: Springer Verlag; 1987. Revised 1992。]
[0143] ]
[0144] ]
[0145] ]
[0146] 「PAP番号」は、本文に言及したようなPAPの番号である。
「配列番号」は、配列表における識別番号である。
「配列番号上のPAPの配位」は、引用された配列におけるPAPポリペプチドのアミノ酸残基の位置を示す。]
[0147] ]
[0148] ]
权利要求:

請求項1
被験体における癌の存在、癌発生のリスク、又は癌の発達段階を検出する方法であって、前記方法は、インビトロで被験体からの試料を、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含むポリペプチドと接触させることを含み、ここでの前記ポリペプチドと、前記試料中に存在する抗体(TIAB)又はTCR含有細胞との複合体の形成は、癌の存在、癌発生のリスク、又は癌の発達段階の指標である、前記方法。
請求項2
前記試料中の前記TIAB又は免疫細胞のレベルは、参照値と比較され、参照値と比較した変動は、癌の存在、癌発生のリスク、又は癌の発達段階の指標である、請求項1の方法。
請求項3
参照値と比較した前記の変動は、10%、20%、30%、40%、50%又はそれ以上である、請求項2の方法。
請求項4
前記ポリペプチドは、配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片から選択される配列を含む、請求項1〜3のいずれか1項の方法。
請求項5
前記ポリペプチドは、表5の45個のPAPポリペプチドのいずれか1個の配列を含む、請求項4の方法。
請求項6
参照レベルと比較した、前記試料中のTIAB又は免疫細胞のレベルの上昇は、癌の存在、癌発生のリスク、又は癌の発達段階の指標である、請求項4又は5の方法。
請求項7
前記癌は、固形腫瘍又は液性腫瘍であり、好ましくは大腸癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌、頭頸部癌又はメラノーマである、請求項1〜6のいずれか1項の方法。
請求項8
前記癌は肺癌であり、前記ポリペプチドは、配列番号1、2、4、6、7、1413、581、1457、1769、1270、1276、1396、80、1810、1864、847、2119又は1451又はそのエピトープ含有断片から、特に表5に示したようなPAP1、2、4、6、7、24、25、28、29、44、48、66、70、68、69、74、94、82から選択される配列を含む、請求項1〜7のいずれか1項の方法。
請求項9
前記接触工程は、試料を、転写非忠実度により作られた独特な異常タンパク質ドメイン配列を含む数個のポリペプチドと、好ましくは2〜10個のポリペプチドと同時に接触させることを含む、請求項1〜8のいずれか1項の方法。
請求項10
被験体の生理的状態を評価する方法であって、前記方法は、被験体からの試料中のそのようなドメインに結合する、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメインに特異的な抗体(TIAB)又はTCR含有免疫細胞の存在又はレベルを測定する工程を含み、参照値と比較した、前記試料中の前記TIAB又は免疫細胞のレベルの改変は、生理的疾患の指標である、前記方法。
請求項11
癌の処置効力を決定する方法であって、前記方法は、(i)被験体からの試料中の、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む少なくとも1個のポリペプチドのレベル、又はTIABもしくは対応するTCR含有細胞のレベルを決定し、(ii)前記レベルを、処置前に又は処置の早期段階で採取した前記被験体の試料中のレベルと比較することを含む、前記方法。
請求項12
被験体の癌の進行又は拡大をモニタリングする方法であって、前記方法は、(i)前記被験体から得られた試料を、転写非忠実度により作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む少なくとも1個のポリペプチドと接触させ、(ii)前記試料中のTIAB又は対応するTCR含有細胞のレベルを決定し、(iii)前記レベルを、参照値と比較することを含み、変動は、癌の進行又は拡大の指標である、前記方法。
請求項13
前記ポリペプチドは、配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片から選択される配列を含む、請求項11〜12のいずれか1項の方法。
請求項14
前記ポリペプチドは、表5の45個のPAPポリペプチドのいずれか1個の配列を含む、請求項12の方法。
請求項15
前記接触工程は、前記試料を、数個の前記ポリペプチド、好ましくは2〜10個のポリペプチドと同時に接触させることを含む、請求項12又は13の方法。
請求項16
個体から得られた試料を、前記ポリペプチドの存在を示す薬剤と接触させ、前記薬剤が前記試料と結合するかどうかを決定することを含む、個体が、配列番号1〜3334からなる群より選択される配列を含むポリペプチドを作っているかどうかを決定する方法。
請求項17
前記薬剤が、配列番号1〜3334からなる群より選択される配列を含むポリペプチドに特異的に結合する抗体に結合するポリペプチドである、請求項16の方法。
請求項18
前記薬剤が、配列番号1〜3334からなる群より選択される配列を含むポリペプチドに特異的なTCRを含む免疫細胞に結合するポリペプチドである、請求項16の方法。
請求項19
前記薬剤が、配列番号1〜3334からなる群より選択される配列を含むポリペプチドに特異的に結合する抗体又はその一部である、請求項16の方法。
請求項20
前記薬剤が、配列番号1〜3334からなる群より選択される配列を含むポリペプチドに特異的なTCRを含む免疫細胞である、請求項16の方法。
請求項21
前記ポリペプチドが、支持体上に固定されている、請求項1〜18のいずれか1項の方法。
請求項22
生物学的に活性な化合物を選択するか、特徴づけるか、スクリーニングするか、又は最適化する方法であって、前記方法は、試験化合物をインビトロで遺伝子と接触させるように配置し、前記試験化合物が、前記遺伝子からの、転写非忠実ギャップを含むRNA分子の産生をモジュレーションする能力について決定することを含む、前記方法。
請求項23
転写非忠実度に特異的なペプチドを作製する方法であって、前記方法は、a)転写非忠実ギャップから生じたタンパク質ドメインを同定する工程、b)前記のa)のタンパク質ドメイン配列を含むペプチドを合成する工程、c)哺乳動物被験体の生物学的試料において、前記ペプチドが抗体に結合することを場合により実証する工程を含む、前記方法。
請求項24
配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片から選択される配列を含むポリペプチド。
請求項25
請求項24のポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド。
請求項26
前記ポリヌクレオチドは標識されている、請求項25の単離ポリヌクレオチド。
請求項27
配列番号1〜3334からなる群より選択されるポリペプチドをコードする第一ヌクレオチド配列又はそれに相補的な配列と、100以下のヌクレオチド長の第二ヌクレオチド配列とを含む、単離核酸であって、前記第二ヌクレオチド配列は、天然の核酸において前記の第一ヌクレオチド配列と隣接している、前記単離核酸。
請求項28
請求項25又は27のポリヌクレオチドを含むクローニングベクター又は発現ベクター。
請求項29
請求項28のベクターで形質転換又はトランスフェクトされた細胞。
請求項30
配列番号1〜3334からなる群より選択されるポリペプチドに特異的に結合する単離抗体又は抗体の一部。
請求項31
配列番号1〜3334からなる群より選択されるポリペプチドに特異的に結合する単離細胞。
請求項32
前記細胞は、配列番号1〜3334からなる群より選択される前記ポリペプチドに特異的なTCRを含む免疫細胞である、請求項31の単離細胞。
請求項33
配列番号1〜3334又はそのエピトープ含有断片から選択される配列を含む少なくとも1個のポリペプチドを含む固体支持体。
請求項34
配列番号1〜3334からなる群より選択されるポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1個の抗体又は抗体の一部を含む固体支持体。
請求項35
転写非忠実ギャップにより作られた異常タンパク質ドメイン配列を含む少なくとも1個のポリペプチドを含み、それが支持体上に固定された、装置又は製品。
請求項36
請求項23の1個又は数個のポリペプチドを含む、請求項35の装置。
請求項37
少なくとも請求項35又は36の装置又は製品と、免疫反応を行なうための試薬とを含むキット。
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